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 犬を飼っている人なら、自分が落ち込んだ時、悲しい気分の時、犬がそれを悟り、そばに寄り添い、慰めてくれることを知っている。最新の研究によると、犬は自分の飼い主だけでなく、悲しんでいる人なら誰に対しても慰めようとする習性を持っているという。犬は本能的に人間の痛みをやわらげようと考えているようだ

 ロンドン大学ゴールドスミス校の研究者らは、様々な犬種18匹を、飼い主のいる部屋と、まったく知らない人がいる部屋に招き入れ、部屋にいる人々に、突然悲しみながら泣いたり叫んだりするよう指示した。その結果3匹の犬を除いた15匹の犬は、自分が夢中になってやっていることをやめてでも、人間に寄り添い、彼らに触れるという行動をとったという。それは飼い主に対しても知らない人に対しても同様の態度で行われた。比率にすると84%と、10匹に8匹以上の割合で、犬は人を慰めるという行為をするのだ。

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 実験を率いたジェニファー・メイヤー氏は、「これらの犬の行動は 誰かをなぐさめるために抱きしめたりおもちゃを与えたりする人間の幼児(3-4歳)と同等の対応である。1.2歳の小さな子どもは、誰かが泣いていれば一緒に泣き出すが、なぐさめようとはしない。故に犬の行動は人間が成長するにしたがって得る、社会的な精神の成熟の現れである。」と述べた。

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 今回の実験において、もっとも若かった生後8カ月の黄色のラブラドールは、知らない誰かが泣くふりをするまでは自分のしっぽを追いかけるのに夢中だったが、その人が泣き出すとすぐに反応し、その肩にやさしく前足をかけたという。

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 飼い主だろうが他人だろうが、誰かが泣くと ほとんどの犬が静かに近づいて、従順に癒しを与えるような行動を示した。犬は飼い主の要求に応えるのではなく、飼い主を含んだ人間の感情に深く同調し、悲しみを共有しようとしているのだ。

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  犬が人間の感情に敏感なことは、昔から知られていたことだが、それを証明する為の科学的な研究はこれまでに行われていなかった。「犬は人間の理解できる言葉を持たない為、彼らが何故人間の悲しみを理解できるのか、癒して欲しいときにそばに来てくれるのかはわかっていない。それを解明することが今後の研究課題である」と、ジェニファー・メイヤー氏は、「journal Animal Cognition」誌に書き記した。