心揺さぶられる10の犬の物語

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 人間と密接なかかわりを持つ動物として知られている犬は、常にそばにいることでその忠誠心を示す。誰に指示されるわけでもなく、自らの強い意志でそばにいることを貫き通す。いつもは飼い主の言いつけを忠実に守る犬でも、飼い主の身に危険が降りかかった時には、自らの意志でその命令に背く。

 ここでは、ネット上で有名となった10の犬たちのそれぞれのストーリーを見ていくことにしよう。


1. 瀕死の飼い主のところへ救急隊を導いた犬

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 グレゴリー・トッド・トラバス(41)は、デビーの町近郊のフロリダ州道84号線を走行中にハンドルを取られ、橋脚に衝突、高速道路の上を車ごと400mも吹き飛ばされてしまった。最初に通報を受けた救急隊が現場で車の残骸を探しはじめたがなかなか見つからない。そこに脚をひきずりながら1匹の犬が現れた。

 その犬は、トラバスがかわいがっていた愛犬のジャーマンシェパード、サイモンである。サイモンは救急隊にこっちにくるようにと促した。サイモンの案内のおかげで捜索隊は車の残骸とともに、トラバスを発見できた。サイモンは車の残骸のまわりをくるくる回り、そして車に乗り込んだ。トラパスの顔をいとおしそうに舐めると、彼の隣にちょこんと座って、車が動き出すのを待っていた。しかし悲しいことに、トラバスが再びこの車を運転し、サイモンとドライブすることは二度となかった。


2.亡くなった飼い主の墓の側をずっと離れない犬

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 この話は前にカラパイアでもとりあげたものだ。キャプテンという名のジャーマンシェパードは、2006年、飼い主である、ミゲル・グズマンが亡くなった直後、家から出て行ってしまった。いったいどこにいってしまったのかと探し回ったグズマンの家族だが、キャプテンを発見することはできなかった。

 ところが、1週間後、ある場所でキャプテンと再会することになる。そこは、グズマン氏が眠るアルゼンチンの町、ヴィラ・カルロス・パズにあるお墓であった。キャプテンは故人が埋葬されているそのお墓に寄り添うように座っていたのだ。ここで待っていれば故人と再び会えると思っていたのだろう。以後6年間、キャプテンはこの場所から離れられず、ここで暮らしている。キャプテンは日中は前に住んでいた自分の家に帰っていくが、暗くなる前にはいつも墓地に戻って来る。


3.迷子になった2歳の子を14時間ガードし続けた犬

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 オーストラリアの未開の灌木地域で迷子になっていた2歳の男の子、ダンテ・ベリーくん。捜索隊の懸命な捜査活動により14時間後、ビクトリア州内のミルデューラ市にあるダンテ君の家から4㎞以上も離れた場所で発見された。そこには、ダンテ君に寄り添い愛犬のジャーマンシェパードのダッシャーがいた。ダッシャーはダンテ君の側を片時も離れず、怖がるダンテ君をガードし続けていたのである。


4.ひき逃げされ、亡くなった飼い主の側を離れようとしなかった犬

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 何者かによってひき逃げされ、死んでしまった主人の亡骸から離れようとしない1匹の犬がいた。その事故は、米カリフォルニア州サンタクルーズのハイウェイ1号線上で夜間に発生した。自転車の運転中、車にひかれ命を落とした男性の遺体は、朝になって発見されるまでずっと道路脇に横たわったままだった。

 翌朝、ここを通りかかったドライバーにより、壊れた自転車と遺体、そして1匹の犬が発見された。切なくもそこには、亡くなった飼い主が愛犬を乗せる為、自転車に固定してあったケースがバラバラになって地面に転がっていた。遺体はそこに約12時間ほど横たわっていたと考えられており、その間ずっと、そのケアーンテリアの雑種犬は、悲しみにうなだれるようにしながら、遺体と寄り添っていたのだ。


5.主人の自殺を防いだ犬

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 愛犬のおかげで自殺を思いとどまった、という女性がフランスにいる。ソルグの町に住む63才の女性は自身の命を裏庭で断つことを決心した。しかし彼女の飼い犬であるジャーマンシェパードは、全力でそれを阻止しようとした。飼い主女性がまさに発砲しようとしたその瞬間、命がけの、捨て身の体当たりをくらわせたのだ。"その犬は事態を察知して彼女にぶつかり、助けようとしたのだろう。"と、警官は語る。彼女は胸を怪我したものの、軽傷で済んだので無事に回復するようだ。


6.飼い主の葬儀が行われた教会のミサに、毎日出席する犬

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 数ヶ月前に飼い主を亡くした犬が、飼い主の葬儀が行われたイタリアの教会の礼拝に毎日出席し続けている。主人が帰ってくるのを辛抱強く待っているのだ。享年57歳だったマリア・マルゲリータ・ロッチさんのけなげな愛犬は7歳のジャーマンシェパードで、名はトミーという。その昔、捨て犬だったトミーは、彼女に拾われて以来、ずっと彼女に寄り添ってきた。

 ロッチさんは他にもそういった犬達を引き取っていたが、彼女の友人の話ではことのほかトミーを可愛がっていて、彼を連れて毎日教会に行っていたそうだ。教会の司祭も、彼女の足元でおとなしくしているトミーの参加を許可していたという。悲しいことに、彼女はイタリアのブリンディジ市近郊のサン・ドーナチで亡くなり、トミーもその葬儀に出席した。それ以降、その教会のミサの開始を告げる鐘が鳴ると、かならず駆けつけ、教会のミサをおとなしく聞いているという。


7.亡くなったガールフレンドをガードし続けた犬

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 中国の漳州市で、仲良く遊んでいたオスとメスの2匹の野良犬。このうちのメスが車に轢かれて死んでしまった。死後、残されたオス犬は、その亡骸のそばでガードし続けていた。勇敢にも、往来の激しい道路の真ん中で、次々とやってくる車から逃げようともせず、横たわるメス犬の隣に寄り添い続けた。そして時折、この犬は、亡くなったメス犬に「もう起きて」とうながすように、横たわっている体をそっと押していたという。このオス犬は6時間以上にわたり、彼女を守り続けたのだ。


8.凍った川から救出される主人を辛抱強く待ち続けた犬

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 コロラド川の薄い氷が割れ、川に落ちた飼い主が、消防隊に救出されるまでずっと傍らで見守り続けた主人思いの犬がいた。その日の午後、身元不明の60歳の男性と愛犬は、カモ猟のためその川岸の上にいた。男性は、撃ち落としたカモを取りに行こうとして氷の上を歩いた途端、薄氷を突き破って川に落ちてしまったのだ。

 近くにいたハンター達がその事故を目撃して通報したが、その犬は救助を待っている間もその場を去ろうとはしなかった。自らも川に落ちる危険性があるにもかかわらず、待合室で心配しながら待機している親族みたいにウロウロし、主人に脚を伸ばそうとしたものの、愛犬の安全を案じた主人に"危ないからあっちへ行け!"と何度も手を振られた。それでもあきらめきれず、その場を行ったり来たりしていたという。


9.入院中の飼い主の病院をつきとめた犬

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 飼い主に会いたい一心で、深夜に3km以上離れた入院先まで追跡してしまったハスキー犬がいる。その白いハスキー犬の名前はゼンダー。5年前にシェルターに居たところを、今の飼い主であるジョン・ドランに拾われた。 ドランが皮膚の病気でニューヨーク州のロングアイランド病院に入院した時、ゼンダーはひどく落ち込み、しょんぼりしつつ家の周りをあてもなくうろついていた。そしてとうとう、夜中の3時に家を抜け出し、ウエストアイスリップにあるグッドサマリアン病院にドランがいるのをつきとめたのだ。

 病院の職員は、建物の外の道路に犬が座りこんでいるのを見かけた。犬に近づき、首輪に記入されていた電話番号に電話をかけてみたところ、この病院に入院しているドランの携帯電話に繋がった。ドランは病室のベッドから応答することになったのだ。その後ドランの奥さんがやって来てゼンダーを連れて帰った。それでもどうしてもドランに会いたいゼンダーは、その後何度も家を脱走し、病院を訪ねてきているという。

 病院を探し当てたゼンダーの映像



911テロの最中、飼い主を助けようとして引き返してきた犬

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 2011年9月11日、盲目のコンピューター技師であるオマー・エドアルド・リベラはワールドトレードセンターの71階で働いていた。ハイジャックされた航空機がタワーに衝突した時、リベラは自分がそのビルから避難するには途方もなく長い時間がかかることを知った。しかしリベラは愛犬のラブラドルレトリバーにだけはなんとかして脱出して欲しいと考え、人でごった返す階段で犬のリードを外した。"その騒音と熱は凄まじいものだったので、私はこれが永遠の別れになるだろうと感じた。でもドラドには脱出するチャンスを与えるべきだと思った。リードを外し、彼の頭をクシャクシャっと撫でてやってからそっと体を押して、"行け!"とドラドに最後の命令をだした。"と彼は語る。

 ドラドはその後、出口を求めて溢れる人の波に押されながら階下へと向かったが、数分後、ある異変に気がついた。下の方になにやら懐かしい感触がする。その感触の正体は確かめなくてもすぐに分かった。愛犬ドラドのものである。ドラドがリベラの脚に鼻先が押し当ていたのだ。ドラドは、最後の命令を無視し、すぐにリベラ元へと戻ってきてしまったのだ。

 その後ドラドは、リベラの同僚と共に、一時間近くを費やし、70階分の段差を降りる盲目の主人を助けた。タワーから彼らが脱出後まもなくビルが崩れ落ちた。こうしてリベラは、ドラドによって命を助けられたのである。

via:10 Most Loyal Dogs 原文翻訳:R