犬はヒトの声を聞いただけで男女の違いを認識することができる(京都大学研究)

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 人間は、姿が見えなくても声を聞いただけで相手の性別を想像することができる。テレビから流れる音声や、電車のアナウンスなど、相手の姿は見えなくても、その声の持ち主が男性か女性なのかを無意識のうちに認識しながら聞いている。

 では犬はどうなのか?日常的に人間と暮らしている犬は、人間の声を聴いただけで男女どちらなのかを認識し、別々のイメージを思い浮かべているのだろうか?京都大学で犬の社会的知性や認知能力を研究している心理学研究室の高岡祥子先生率いる研究チームは、この研究を行いその調査結果を報告した。

 結論から言うと、犬は人間の男女の声の違いを認識しているようだ。

 研究チームは人間の赤ちゃんの認知能力を調べる方法を用いてこれを調べた。人間の赤ちゃんはまだ言葉をうまく使えないので、言葉を使用しなくてもよい様々な研究方法が開発されており、この研究方法は動物にも応用されている。

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 実験ではまず、イヌをモニターの前に座らせ、次に、モニターの後ろに設置されたスピーカ―から男性または女性の音声でイヌの名前を呼ぶ音声を流す。

 その直後に、モニターに男性または女性の顔写真を呈示して、イヌがモニターをじっと見ていた時間を調べた。音声も写真も、イヌにとっては見知らぬ人物のものであるが、音声の人物の性別と写真の人物の性別が一致したものと、一致しないものの2つの条件で行われた。

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 その結果、イヌは音声と写真の性別が一致している条件の時よりも、異なる条件の時の方がより長くモニターを見ていたという。

 つまりイヌは、男性の音声がして男性の写真を見せられても予想通りなので驚きはしないが、男性の声がしたのに女性の写真を見せられると、予想と反するので驚いてじっとモニターを見ていたと解釈することができる。これは、声を聞きただけで姿を見ていなくても、声の主の姿を想像していたことを示す証拠となる。

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 イヌを飼っている人からすれば、「予想通り」でびっくりしない結果かもしれないが、科学的な手法で調べられたのはこれが初めてである。

via:イヌ(Canis familiaris)におけるヒトの性別の感覚統合的概念

 ちなみに上記の文章は、京都大学の高岡祥子先生が、ご自身が発表した論文をもとに、カラパイアの読者に向けてわかりやすく要約してくれたものである。

 高岡先生は、特に犬に関しての認知研究を熱心に行っており、今回研究を行ったヒトの性別判断以外にも、イヌはヒトの話し声を聞いていったいどんなことを思い浮かべているのか?犬がヒトと暮らすことでどのような社会的知性が発達していったのか?犬に関しての興味は尽きないという。